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心理学の錬金術

3分で分かるピグマリオン効果とは?心理学的意味と具体例を紹介

投稿日:2017年11月26日 更新日:

【この記事を書いた人】マナブ
大学時代は引きこもって学問書を読み漁る、いわゆる頭デッカチ。 就活で50社以上に断られるも、現在はセールスプロモーター兼投資家として活動。 真面目に勉強している人が報われる社会を作るため、学問の知識をお金に変えるノウハウをメルマガで無料公開している。

なかなか頑張ってくれない子供や部下などに、もうすこし頑張ってもらいたい……と思うことはありませんか?

 

教育心理学の分野には、そのように頑張ってほしい人達をがんばらせる心理効果「ピグマリオン効果」が存在します。

 

この記事ではそんなピグマリオン効果について以下のように解説をしています。

  • 意味
  • 根拠
  • 批判や疑問点
  • おすすめの書籍

 

この記事を読めば必ずピグマリオン効果について深い理解が得られるはずです。

 

ぜひピグマリオン効果を用いて人を動かせる人間になりましょう!

 

 

ピグマリオン効果の心理学的な意味とは?

ピグマリオン効果の心理学的な意味は「期待を込められた人間は、そうでない人間と比較して優れた結果を残すことができる」というもので、教育心理学に分類される心理効果です。

 

またの名を心理効果教育期待効果・ローゼンタール効果とも呼ばれます。

 

たとえば教師がある生徒に対して、優秀だと期待を込めて指導をすれば、そうでない生徒よりもその生徒は優れた結果を残すというようなものです。

 

このピグマリオン効果は、1964年に米国の教育心理学者ロバート・ローゼンタールが提唱した「期待と成果に関する心理効果」です。

彼は、学校における実験の論文を通し「人間は期待された通りの成果を出す傾向がある」ことを主張したのが始まりです。

 

彼が行った「学校における実験」はサンフランシスコの小学校で行われ、以下のような手順・結果となっています。

 

学期の最初に特別なテストを実施して、今後成績が伸びる可能性が高い生徒が誰なのかを担任の教師に教える。

しかし実際には、これらの生徒は実力に関わらず無作為に選ばれただけの生徒である。

 

そうであるにも関わらず、8ヶ月後に再びテストを実施すると、この有望だとされた生徒は他の生徒よりも実際に成績が伸びていた

徳島総合大学 2011年度学部共通科目 科学と人間 第7回 【ピグマリオン効果について】 

 

上記の内容から、ピグマリオン効果が実在し、それによって有望だとされた生徒の成績が伸びていたと捉えることができます。

 

またこの実験は、もともとローゼンタールが行ったネズミを用いた実験がもとになっており、その実験によれば以下のような実験結果が出ました。

 

「このネズミは利口なネズミの系統」と学生に伝えたネズミと、「このネズミは動きが鈍いネズミの系統」と学生に伝えたネズミとの間で、迷路による実験結果の差を調べたところ、「利口なネズミ」と伝えられていたネズミの方が結果が良かった……

徳島総合大学 2011年度学部共通科目 科学と人間 第7回 【ピグマリオン効果について】 

理屈としては利口なネズミに対しては学生は丁寧に接し、利口でないネズミに対してはぞんざいな態度で接したため、ネズミの能力に差が出たということになります。

ローゼンタールはこの実験を通して学校での実験を行うに至りました。

 

これらの実験結果に誤りがなければ、ピグマリオン効果は人間に対しても簡単に働きかけることのできる、手軽で便利な心理効果といえます。

 

 

ピグマリオン効果を実証した実験

現在においてもピグマリオン効果を実証する実験は行われています。

先ほどお伝えしたピグマリオン効果の実験は、1964年に行われたものと、実施した年代が古いものでした。

 

ここでは、比較的新しい別の実験を紹介します。

次の実験は名古屋大学で行われた実験で、その方法と結果は以下のようになります。

  1. テーマは柔道で指導者※1と学習者※2それぞれ1名と10名
    ※1 指導者の年齢層は大学4年生
    ※2 学習者の年齢層は高校2年生
  2. 学習者を実験群と統制群の2グループに分け片方は「柔道の才能があり柔道の実力が近い将来伸びる」という設定をし、もう片方に対しては「とくに何の特徴もない※1」という設定をする
    ※1正確にいうと統制群には何も設定がされていないのですが、分かりやすさを優先してこのような表記にしています。
  3. 指導者に2でつくった学習者の設定を、部員指導記録簿の評価や学習者の教師による紹介によって刷り込む 
  4. 実際に指導を行ってもらい、指導中の学習者に対する指導者の態度や接し方を7項目において観察する

(参考:参考柔道の教授=学習過程 におけるピグマリオン効果の実証的研究 伊藤三洋(名古屋大学))

結果は7項目中2項目、指導者が投げた回数と、投げる際に入っていた「気合い」の強さに十分な差がありました。

 

「気合い」という概念がどのようなものなのか説明はされていませんが、ともかく、練習量において差が出れば、練習結果にもある程度の差が出ると予測することができます。

 

よって、この実験はピグマリオン効果を実証する一例といって間違いないでしょう。

 

以上、ピグマリオン効果を実証する実験を紹介しました。

 

 

恋愛や子育てに使える!?ピグマリオン効果を応用した具体的な事例

恋愛や子育てにおいてピグマリオン効果を応用したいと思った場合、相手に期待することが重要になります。

 

つまり、
「相手に期待することにより自然にこちらの態度が相手に対して良いものとなり、結果相手からも応えて貰える」というピグマリオン効果の概要を利用するということですね。

 

具体的には、よく教師と生徒・親子の関係や、パートナーとの恋愛関係において使われることが多いようです。

 

たとえば教師と生徒・親子関係であれば、親や教師が子供や生徒に期待をすることで、子供たちがより優れた結果を残すというものです。

 

これは前の見出しでもお伝えした実験論文の結果と似通っており、子供や生徒に親や教師が期待を寄せれば、子供たちの成績向上が期待できるということです。

 

また恋愛関係においては、パートナーに対して自分が期待をすることで、よりパートナーに対し親密な態度や思いやりのある態度がとれるようになり、結果としてパートナーからも同じように親密な態度を返してもらえるということがいえます。

 

このようにピグマリオン効果は非常にわかりやすい効果であり、具体例をもとに実践するのも簡単です。

 

結論として、大切なのは相手に期待をしてあげることです。

そうすることにより相手からも期待に応えてもらえるというわけですね。

 

 

ピグマリオン効果の逆はゴーレム効果

仏像の石像

ピグマリオン効果の逆はゴーレム効果と呼ばれ、「期待を込められていない人間は、そうでない人間と比較して優れた結果を残すことができない」というものです。

 

たとえば「この子はダメだなと思って生徒に接すると、その子は本当に成績が下がってダメになってしまう」というような形ですね。

 

これもピグマリオン効果と同じような理屈で、期待されないことによって生徒のモチベーションが下がって成果が出ないという考え方です。

 

 

実はピグマリオン効果への批判や反論もある

実はピグマリオン効果には批判や反論も多く、いくつかの疑問点があります。

その論点をまず簡潔にお伝えすると以下のようになります。

  1. ピグマリオン効果は根拠となる実験に信頼性がない
  2. ピグマリオン効果は外的な要因を無視している
  3. ピグマリオン効果はそれ自体当たり前のことである

それぞれ詳しく解説します。

 

 

ピグマリオン効果への批判その1. 根拠となる実験に信頼性がない

ピグマリオン効果の主要な実験はロバート・ローゼンタールが実施した次の2つですが、実はこれらは信頼性に欠けるものだといえます。

  1. マウスを用いた実験
  2. 小学生90人程度を対象にした実験

 

まず一つ目は、動物実験という点で信用性がありません

動物実験は臨床実験前の前段階的な実験手法として非常に有効な実験方法ですが、それ単体では信用性が低いのが実際です。

 

これは国際的にも一致した価値基準で、国オックスフォード大学からエビデンスレベルが発表したエビデンスレベル(科学的根拠の数値レベルのようなもの)においても動物実験は最低数値で全く信用できないという位置に設定されています。

 

つまるところこの実験はあくまで実験室の段階のものであり、これのみではピグマリオン効果を実証するものになりえません。

 

 

次に小学生90人程度を対象にした実験についてですが、これはスピッツという心理学者が再現実験をした際には、同様の結果が得られずピグマリオン効果が証明できませんでした

 

つまり一貫した結果が出ておらず、実験結果としては信用性に欠けるといえます。

 

以上の理由からピグマリオン効果において主要な根拠とされている実験論文は全て根拠に乏しく、そのためピグマリオン効果は存在していないといえます。

 

 

ピグマリオン効果への批判その2. 外的な要因を無視している

ピグマリオン効果の説明のうち、外的な批判を無視している、という部分も、批判の対象になっています。

 

ピグマリオン効果の信ぴょう性を補強する理論として以下のような理論が多く見受けられます。

「応援してもらった生徒と、諦められた生徒では成績も大きく違ってくるのは当然のことだ」

 

一見正しいように見えるこの理屈ですが、実は大きく見落としている点があります。

 

それは現実世界で生徒を取り巻く環境や生徒の性格は一定ではないということです。

 

ですから生徒を本気で期待してもそれが原因で生徒の成績が上がるとは限らず、もし期待通りに動く傾向があるというのであれば、それなりの規模の実験が必要になってきます。

そのため理屈でピグマリオン効果を説明しても、実際にピグマリオン効果があることを証明することにはならないのです。

 

たとえば期待という他者からの承認を受けて躍起になって頑張ろうと思う子もいれば、そうとは思わず怠ける子もいます。

 

そのような場合、生徒の成績の上下に「期待という要素」ではなく「教育のやり方」が起因しているといえます。

 

また生徒を取り巻く環境についても、毎週3日塾通いの子供と家は貧乏で塾にもいけない、あるいは低額な塾にしか通えないという生徒ではまったく成績の上がりやすさが違ってくるでしょう。

 

その場合は生徒の成績の上下に「期待という要素」ではなく「教育環境の悪さ」が起因しているといえます。

 

つまり、必ずしも期待して接すると生徒の成績が上がるとは限らず、期待すれば成績が上がるというピグマリオン効果の存在を実証および示唆することにはなりえません

 

なお、ピグマリオン効果を説明するサイトにはどんどん定義を広げていって、

「今は駄目でも、教育のやり方を工夫すれば、うちの子は必ず成績が上がる」というように考えるのもピグマリオン効果の一つだ、

という考え方もあります。(一部改変しています)

 

しかし、教育のやり方を工夫することと子供への期待は必ずしも関係するわけではありません。

よって、「教育のやり方を工夫する=子供への期待」というのは成立しません

 

子供に対して全く期待がなければ教育のやり方を工夫することもないだろうという反論は、「ピグマリオン効果は指導者が学習者に教育をする意思があるという前提で成り立っている」ことを無視した理論です。

 

もし、「子供への期待と関係のある可能性がある成績アップ方法はぜんぶピグマリオン効果だ」という前述の理屈がアリなら、生徒の成績が上がる方法すべてがピグマリオン効果に含まれてしまいます

 

たとえば塾に行かせるという教育環境の改善に関しても「今は駄目でも、塾にでも行かせれば、うちの子は必ず成績が上がる」というようにいってしまうことができるんですね。

 

しかしこれは広すぎる定義ゆえの万能性であって、成績がアップする方法は全部ピグマリオン効果だといっているようなものなのです。

 

つまりピグマリオン効果という用語をつかっているだけで、何も説明していないのです。

 

このようにどんどん定義を広げてピグマリオン効果の正しさを維持したところで、結局ピグマリオン効果自体の存在意義がなくなっており、これは誤りなのです。

 

 

ピグマリオン効果への批判その3. そもそも心理効果とはいえない

そもそもピグマリオン効果は、心理効果とは言い難いものです。

 

冒頭でもお伝えした通り、ピグマリオン効果は「期待を込められた人間は、そうでない人間と比較して優れた結果を残すことができる」という心理効果です。

 

しかしこれは「実験手法やその結果」を見れば、当たり前のことであり※、ピグマリオン効果はなにか心理効果を説明しているように見えて実は何も説明してはいないのです。

よって、これは心理効果ではありません。

 

※批判その2の主張と矛盾しているように見えますが、批判その2における主張は「理屈や単純な比較だけでピグマリオン効果を断定することはできない」というものであり、ここでいっている通常の実験結果からだされた理屈に対する主張とは矛盾しません。

 

たとえば、ピグマリオン効果の代表的な実験であるサンフランシスコの小学校でおこなわれた実験について考えてみましょう。

この実験の「手法」は、
教師が生徒に対して"才能があり、有望性がある"と期待して教育をした場合と、そうでない場合とを比較すると成績に違いが現れる」というものでした。

 

そしてその「結果」について、教師は生徒に対して公的な回答機会を与えたりしていて、その期待に応えるかのごとく生徒の成績も上がっていました

 

公的な回答機会を与えるということはそれだけ力を入れて教育していると言い換えることができ、言い方を悪くすれば依怙贔屓をしていることになります。

 

特定の個人に対し依怙贔屓をしたり力を入れた教育をすれば、そうでない人間と差がつくことは容易に予測できることですし、実際に差がついていますね。

 

また上記の予測を補強する観察結果としてピグマリオン効果の提唱者であるローゼンタール自身が論文で以下のように述べています。

 

「期待を抱くことになる生徒とのつきあいが2週間以内の教師の場合には91%の研究でピグマリオン効果が見られたが、2週間以上のつきあいがある教師では12%の研究でしか効果が見られなかった

 

これは教師が生徒に期待をした最初のうちは、生徒に対して力を入れた教育をしていたものの、生徒の実像が判明してくるにつれ、そのような教育方法を維持することができなくなっていった、あるいは生徒自身がついていけなくなったということです。

 

つまり生徒は身の丈を上回る期待に、教師は理想通りではない生徒を依怙贔屓することに、片方あるいは両方が疲れバテたということです。

 

要約するとピグマリオン効果は「教師が生徒を無理に依怙贔屓することによって成績があがる」という当たり前の現象であり、それ自体が意味するものは何も無いということがいえます。

 

またこのことは逆にいった場合、依怙贔屓を意識して戒めれば期待して相手に接しても成績は上がらないということもいえます。

 

ピグマリオン効果が心理学の名を借りている以上重要なのは、「教師は生徒の才能などに期待をするとその生徒を無意識に依怙贔屓してしまう」というような人間の心理が関係する性質です。

 

通常よりも力を入れて教育をすれば成績が上がるという当たり前のことではありません。

 

なぜならそれが人間の心理がもたらす効果や影響を説明しているのではなく、たんに無理をして教育すれば成績が上がるといっているだけだからです。

 

よってピグマリオン効果の説明である「期待を込められた(依怙贔屓された)人間は、そうでない人間と比較して優れた結果を残すことができる※」

 

※「期待を込められた」を「依怙贔屓された」と言い換えているのは「期待を込められた」とかくと相手に期待をして接することが相手の能力が向上させる直接の要因かのようにとらえられるからです。

 

上記の説明はよくよく実験結果などを見てみると、当たり前のことをいっているだけです。

 

そして人間の特定の心理を説明するものでない以上、ピグマリオン効果自体心理効果とはいえないということがいえます

 

 

ピグマリオン効果について勉強するオススメの本 書籍

赤と黒の分厚い本

ピグマリオン効果について勉強するさいの、おすすめ書籍を紹介します。

ピグマリオン効果は教育心理学や学校教育においても用いられることのある心理効果です。

 

一方現在においても批判の声が強く、そのためピグマリオン効果についての書籍は中立に、肯定派と否定派両方の書籍を紹介しています。

 

ピグマリオン効果を勉強するおすすめの本や書籍としては以下のようなものがあります。

 

「肯定派」のピグマリオン効果関連書籍

以下2冊の書籍は事典型の書籍で多くの人間が携わって出版していることから、情報の信頼性も高く、教育心理についてさまざまなことが学べる本といえます。

ピグマリオン効果にくわえて教育心理学もまなべる網羅的な良書といえるでしょう。

 

 

学校教育相談カウンセリング事典

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教育心理学〈1〉発達と学習指導の心理学

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「否定派」のピグマリオン効果関連書籍

以下2冊の書籍は似非心理学との批判も強いフロイトの精神分析学の批判書籍と、論理的な誤りを含む理論を例題に出し正していく本です。

 

フロイト先生のウソ (文春文庫)

フロイト先生のウソ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80 (ブルーバックス)

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【まとめ】ピグマリオン効果は日常生活に利用できる心理学

日常生活の風景

ピグマリオン効果とは「期待を込められた人間は、そうでない人間と比較して優れた結果を残すことができる」という米国の教育心理学者ロバート・ローゼンタールによって提唱された理論ということでした。

 

本文中でも触れたようにピグマリオン効果にはいくつかのツッコミどころあるものの、教育心理学でも利用されている歴史のある心理効果です。

 

「期待を込められた人間は、そうでない人間と比較して優れた結果を残すことができる」という手軽さから、相手に期待をして接するだけで相手の能力を上げることができます

 

なかなか思い通りに成果を上げてくれない子ども、もしくは部下などに対して、
怒ったり呆れたりするのではなく「まずは期待を込めて接してみる」ということをぜひ実践してみてください。

 

うまくいけば、相手を思い通りに動かすことができますよ。

 

ぜひ日常でも常に相手に期待をすることで、ピグマリオン効果を利用しましょう!

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